財布なくした

財布をなくしました。かつ、他人に必要のないものは歩道に落ちているのが発見されたので、僕が忘れた財布は確実にぱくられたものと思われます。以下、思ったこと。
 なくしてから気付くまで、2時間ほどブランクがあった。ない、と思って探す瞬間というのは、自分の「財布がない状態」をまだ信じられない状態である。そしてしらみつぶしに財布がありそうな場所を探し、もうこれ以上探す場所がない、となったときに、財布がなくなったという事実ははっきりしないけれども(なぜなら、あることの証明は簡単だけど、なくなったことの証明は現実世界において、難しい)ないということを受けれなければならないということになる。その瞬間に、財布を持っている世界と財布を持っていない世界というのはとても違って見えることに気付く。はっきりと何かが違う。
 たったものが一つなくなるだけで精神的に不安定になる存在であるというのは実に寂しいものだ。僕はそれが嫌だったから一年前までは財布を持つということをしなかったが、持ち始めてからは自分がそういう存在であるという事実を仕方がないと思うようになっていた。
 この場合は物だったが、人間は結局そういう存在ではないかと思う。たったこれっぽっちのこと、と思われることで、失うと自分としてのバランスを失うのだ。